え、ちょっと、家って。
どういうこと?
今日はこの前までと違って、勉強っていう目的がないのに……。
先輩はあたしの手をぐいっと引く。
ごちゃごちゃしていた気持ちが、彼のもとに向かっていく。
歩くスピードをゆるめてくれたこともあり、
先輩の後ろを歩いていたのに、あたしは自然と彼の隣を歩いていた。
「あの、先輩、その……」
「………」
先輩は無言のまま、ぎゅっと絡まった手に力を入れた。
だめだよ。これ。
もうついていくしかないじゃん。
つながれた手からどんどん体中に熱が広がってしまう。
きっと今のあたしをサーモグラフィー画像で表したら、手と心臓のあたりが超真っ赤になっているはず!
先輩は最近原チャの調子が悪いらしく、バスで通学しているらしい。
そのまま一緒にバスに乗って先輩の家に向かった。
でも。
用事もないのに年頃の男女が部屋で二人きり、って。
こ、この展開は……
まさか。
『風太くんの風太くんが立ったー! 的な?』
ぎあぁぁぁぁ!
ちょーいちょいちょい待て!
ってあたしは何を想像してるんだ? 変態か!
(一応、ちょいえろな少女漫画読んだことがありまして、そういうことの知識だけはあるんだなこれが)
落ち着け、先輩はきっとあたしに話があるんだ。
そうだそうだそうだ。

