「あははー! ノリ坊も再テだったんだぁ、あたしと一緒じゃん」
「いや~俺、数学苦手で。マジヤバかったっす」
「そうなんだ、良かったね夏休みゲットできて」
「オブチさんこそー。じゃ俺部活なんで。またラインしますねー」
「はーい、頑張ってねー」
じゃーねーと手を振りながら、ノリ坊と別れた。
――あれ?
あたし、今、ノリ坊と普通にしゃべれてた?
再テスト仲間ということで、ちょっと親近感がわいた。
しかも、年上女子に定評がある、彼のはにかんだ笑顔……
結構可愛いかったなぁ。
☆
「あ、先輩! 無事再テスト合格しました!」
帰り道、県道で信号待ちをしている吉野先輩の姿を見つけた。
テンション高く、あたしは報告したけど、
先輩はちらっとあたしを見てから、
「へー。良かったじゃん」とだけ言った。
そのまま、歩行者信号が青になり、彼はあたしを置いて横断歩道を進んでいく。
あれ、これだけ……?
拍子抜けしたあたしは、先輩の半分くらいのスピードで県道を渡っていた。

