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「いよっしゃぁああ!」
先輩の教育のおかげか、再テストは難なくクリアできた。
これで無事に夏休みをのんびり過ごすことができる!
返却されたテストを片手に
ルンルンと職員室を脱出しようとすると。
――どんっ!
「わっ!」
扉近くで誰かの肩とぶつかってしまった。
「ごめんなさいっ、大丈夫ですか……って。わ!」
「す、すみません……って。あ!」
そのぶつかった相手と、謝る声と驚く声がハモる。
「オブチさんじゃないですか! 俺よそ見してて、すみません!」
目の前には、申し訳なさそうな顔であたしを見る、ノリ坊がいた。
「あたしこそ、ちょっと安心して気が抜けてて……ほら、今日再テストの結果出たし」
返してもらったテストをぶんぶん振りながら、慌てるあたし。
「マジッすか? 実は俺も……」
そう言って、ノリ坊は気まずそうに手にしていた紙を見せてくれた。
そこには『1年数学 再テスト』の文字が。
あ。ノリ坊もだったんだ。
しかもその点数は、ギリギリ合格。

