「さっきの妹さんですよね?」
「まーね」
「ちょっと表情とか雰囲気とか、先輩と通じるとこありますね」
「んー、中学の頃はちょっと似てるって言われてたかも」
「そうなんですか! あ、先輩の卒業アルバムとか見たいです~」
「あのさ、お前、そんなヒマあるの? 全然進んでないじゃん」
「……………へぃ」
妹さんは家から出て行ったようで、再び部屋に静寂が訪れる。
先輩は時々あたしの進み具合を見てくれるけど、
勉強以外の会話はほとんど無しで、そのまま2人で机に向かっていた。
ちらっと顔を上げると、彼は変わらず参考書を片手にすいすいと問題集を進めている。
あまり想像できなかったけど、
先輩はちゃんと家で勉強する人なんだ。
少しは休憩したり、話したりできるものだと思っていた自分が情けなくすら思えてきた。
空が薄暗くなった頃、先輩はあたしをバス停まで送ってくれた。
「明日は数B持ってきて。俺だいたい覚えてるし」
「げ、一番苦手なんすけど」
「あ、バス来たぞ。じゃーな」
「はい……ありがとうございました」

