「てめぇ、勝手に開けんなっつってんだろ。取り込み中だったらどーすんだよ」
「しょーがないじゃん緊急事態だったし。
てか取り込み中って例えばどんなこと? あ、風太くんの風太くんが立ったー! 的な?」
「おい、人のチ○コをレッサーパンダみたいに言うんじゃねー!」
目の前でいきなり兄妹ゲンカらしきことを始められ、あたしは1人おろおろすることしかできなかった。
(しかも何これ下ネタ?)
そういえば先輩、自分が本性のままで接することができるの、妹さんくらいしかいない、っていつか言ってたな。
ケンカするほど仲良いってやつかな~、なんてことを思っていると。
「ねーもしかして、この子がモモカ?」
突然、妹さんの目があたしに向けられた。
うわぁ、可愛い。
きっと中学2年とか3年くらいかな?
すっぴんだろうけど、まつ毛が長くて目が大きくて、スタイルも良い。
「はいっ、わたくしモモカです」
あたしはなぜか敬語で答え、姿勢をただした。
「いつも風太がお世話になっております。こんなめんどくさいF××Kinアニキと仲良くして頂いて本当にありがとうございます。よろしければこれからもこいつに構ってあげて下さい」
ツインテールを揺らしながら、丁寧に妹さんはそう言って、頭を下げた。
「は、はい……?」
さっきの勢いはいずこへ、急に礼儀正しくなった妹さん。
もしかして先輩、あたしのこと妹さんに話していたのかも。
「るせーな保護者ぶんな」と先輩はつぶやいていたけど、あたしはちょっと嬉しくなった。
そのまま彼女は「じゃー夜練行ってくるし、あとは2人でごゆっくり~」と言って、スタタタと階段を下っていった。

