「おーおー何だ? 何でも聞いてやるよ」
「あの、今日……」
「ん?」
「もうちょっとだけでいいんで、先輩とまだ一緒にいたい……です」
「いいよ」
「本当っ、すみません。早く帰りたいですよね……、うっ」
「いいって言ってんだろ」
先輩の肩に顔をうずめると、そこを中心に涙の染みができた。
前に回した腕にぎゅっと力が入ってしまう。
ただ、思ったことを打ち明けただけなのに、
どうして涙が出るんだろう。
そして、受け入れてもらえるのって、
この涙が止まらないくらいに嬉しいことなんだ。
「こんな……ひっく、あたしなんかといても、面倒くさいだけ……ですよね」
声を震わせながらそう言うと、
先輩は、よいしょとあたしをおぶり直してから、再び歩き出した。
「あーうるせー。黙んねーとキスするぞ」
「……っ!?」
「…………」
「…………」
必死で息を止めていると、
「そんなに嫌……?」とぼそっと言う声が聞こえた気がした。

