「…………」
あたしの本音、か……。
『あたしは、先輩と一緒にいるの楽しいから、先輩と一緒にいたいんですよ』
『……ありがとうございます。先輩、よく頑張りました』
感謝だったり、相手が喜んでくれそうなことは、たぶん言えていると思う。
でも、自分のキャラに合っていないことは、なかなか口に出すことができない。
それがあたしの本音であっても。
『うわー汚物のくせに喋ったー!』
『汚物じゃないし! あたしだって喋るし!』
男の子と口ゲンカもゲームも遊びも張り合ってきたあたし。
自分の弱い部分をあまり見せたくないし、
みんなもそんなのを求めていないと思っていた。
「……じゃあ、いっこだけいいですか?」
確かにあたしは先輩のイケメンモード、俺様モード、鬱モードなど、いろんな部分を知っている。
情けないところも、ムカつくところも、優しいところも、たくさん。
先輩も、あたしのことをもっと、知ってくれようとしているのだろうか。
言ったらどんな反応をされるのか、とても怖い。
だけど、こんなにも嬉しいことはなくて。
どくんと心臓が震え、上手く息ができなくなりそうだ。

