「お前、足……」
「あはは~ちょっと靴ずれしちゃって。久々に下駄履いたし」
「その傷……靴ずれとは違うだろ。向こうのコンビニで絆創膏とか買ってくるわ。ちょっと待ってて」
そう言って、人ごみと別方向に進もうとする先輩。
「大丈夫ですって~! そんな痛くないし。家帰ったらちゃんと手当しますから」
急いであたしは先輩の腕をつかんだ。
また迷惑かけるの嫌だし。
……ここで1人にされると心細くなってしまいそうだし。
どん、どん、どん、と風に乗って、太鼓の音が聞こえてくる。
ざわついた声の隙間、笛の音もかすかに聞こえた。
「…………」
先輩は振り返り、無言であたしをじーっと見つめている。
えーと? もしやまた怒らせちゃったかな……。
心がざわついたが、ゆっくりと先輩は後ろを向いて中腰になった。
そして――
「じゃあ家まで送るわ。乗って」
おっ、おっ、お……
おんぶっすか!?!?

