「はい、最後のいっこ。お前食っていいよ」
「やったー! ってもしや、からし入りとかだったりします?」
「んなわけねーだろ。さっさと食え」
「もご、もごごご!」
いつの間にか先輩は普段通りにあたしと接してくれていた。
久しぶりに先輩と楽しい時間を過ごすことができた。
しかし――
「……っ!」
どうしよう、足が……。
さっきあのミーハー女子に踏まれた部分がずきんと痛む。
久々に下駄を履いたのもあり歩きづらいし、
ひりひりとした痛みが強くなっていく。
先輩、祭の雰囲気を楽しんでいるみたいだし、バレないようにしなきゃ。
「あー食ったー! せっかくだし神社の方も行かない?」
そう言って先輩は立ち上がる。
あたしもそれに続こうと思ったが、足がぴりっと痛み、よろけてしまう。
表情には出さないようにして、あたしはゆっくりと立ち上がった。
「……あ、行きましょー。一応そっちが今日のメイン会場ですし」
「ん?」
先輩は、下駄を引きずるように歩き出したあたしを不思議そうな顔で見た。
思わず、目をそらすと、足元に視線が向かってしまう。
うわ、やっぱり……。
足の甲の皮が剥けて、血がにじんでいた。

