イケメンすぎてドン引き!



「先輩、浴衣いいですね。大人っぽいですよー」



「これ、いーだろ? この前ばーちゃんが買ってくれて、早く着たかったんだよ」



「あ、だからこの祭、楽しみにしてたんですか」



「ん? まー、そーだな」




いつもの石畳の道の両脇に並んでいるのは、

金魚すくいやヨーヨー釣り、チョコバナナにたこ焼きと、定番の出店たち。



だんだん空も暗くなってきて、提灯とお店の光が人ごみを優しく包んでいた。




「あ、先輩、勝負しましょーよ」



「いいよ。ま、負けねーけど?」



とりあえず、金魚すくい対決をすることに。







「やったー! やっぱりあたしの勝ちー」



「やっぱこうなるのか。くそぅ」



大物を狙おうとして失敗した先輩。


それに対し、あたしはリズムよく金魚をすくっていた。



「わーオブチのねーちゃんすげー」と近所の子どもに話しかけられたので、プレゼントしてあげた。



いーな。楽しいな。



「あ、俺ベビーカステラ食いたい」



「いいですね。って待って~」



時間が経つにつれ、人はどんどん増えていく。



先輩の姿を見失いそうになったあたしは、


ぐいっと彼の浴衣の袖をつかんでいた。



すると、彼は「おい」と言って、あたしに不機嫌そうな顔を向ける。



やば。意外と強く引っ張っちゃったかも……!



「お前、何脱がそうとしてんだよ。俺の美しき体を公衆の面前で晒すつもり?」



少し気崩れた浴衣を整えながら、先輩はそう言う。



はいーーー!?