追いかけようか迷ったが、同じ高校の大人数のグループがあたしを追い越し、次々と駅方面へと向かっていった。
その人の波が邪魔で、先輩の姿は見えなくなってしまった。
仕方がないので、1人でとぼとぼと家に向かって歩き出した。
何で?
ってか何なんだよ。
あたしだったら別に鬱モードな部分も見せてくれていいのに。
もしかして、あたし、先輩に心を閉ざされちゃったのかな……。
ずきん、と胸がさっきよりも痛んだ。
ふと立ち止まり、あたりを見回す。
先輩と一緒によく通っている、いつもと変わらない住宅街なのに。
まわりの景色は、市役所や博物館とかで展示されている町のジオラマが、ただ巨大化したものだけのように思えた。
県道を走る車の音や、どこからか聞こえる小学生たちの声は、再生ボタンを押して流されている、ただのBGM。
この空間で息をしているのはあたしだけのよう。
下唇をきゅっと噛んでも、
もやもやした気持ちを抑えつけることができなかった。
……でも、先輩はやっぱり自分がスーパーイケメンであることは否定しなかったな……。

