「吉野っていうくそ生意気なスーパーイケメンのことですよ」
「ほぅ。そのくそ生意気でクズで根暗で面倒でしょぼいスーパーイケメンならここにいるけど?」
――はっ!!
このイケメンボイス、この爽やかな香りは……!!!!
と気がつくと同時に。
「ええええ!? 何で先輩がここに? って。痛っ!」
ゴスッ、とげんこつを喰らった。
「その前に一言あんじゃねーの? ああん?」
「さっきのは冗談ですっ。すみませんでしたーーー!」
あたしはスライディング土下座な勢いで目の前のイケメンに謝った。
てか、『くそ生意気でクズで根暗で面倒でしょぼいスーパーイケメン』って……
そこまであたし言ってないですから!
(しかもスーパーイケメンであることは否定しないのかいっ!)
「……あの、先輩さっきの美女とデートしてたんじゃなかったんですか?」
結局、いつも通り吉野先輩と帰路につくことに。
先輩は不機嫌そうな顔のままスタスタと歩いている。
「は? 何? あいつに絡まれたとこお前見てたの?」
「だって、校舎の入り口でベタベタしてたじゃないっすか。嫌でも目に入り……」
「あれ元カノ」
先輩がそう言い捨てたと同時に、あたしの足は止まる。

