ちょっと走ったら一気に疲れが押し寄せてきてしまい、あたしはとぼとぼと足元の砂利を引きずりながら歩いていた。
男の子から好意を向けられることに慣れていないあたし。
高い洗剤か健康食品でも売られるんじゃないかな、と変な疑いすら持ってしまう。
ラインもそうだ。
ノリ坊からのラインはどう返したらよいか迷ってしまい、
結局既読スルー状態連発をしてしまっていた。
内容は、学校のこととか部活のこととか、たわいもないことなんだけど。
しかも――
『ほら、県道越えたとこにある神社でお祭が……』
さっきノリ坊が言いかけていた言葉を思い出す。
ああああ、ごめんなさいノリ坊様!!!
お祭、先輩と行くつもりだったし、逃げてしまいました!
でも……どうしよう。
吉野先輩、本当に行く気あるのかな。
そういえば浴衣がどーのこーの言ってたけど、あたしと一緒に行くとは言ってなかったかも。
しかも、先輩は今、美女とデート中。
ざっ、ざっ、と足取りが重くなる。
「……先輩のバーカ」
はぁ~、と大きなため息とともに、あたしはそうつぶやいていた。
「あ? 誰がバカだって?」

