「西高ーファイッ!」「オー!」
とぼとぼと歩くあたしをどこかの部活の軍団が追い越していく。
グラウンドに目を向けると、野球部や陸上部など、必死に練習をしている生徒たちの姿が見えた。
ずき、ずき、ずきと胸が痛む。
先輩はさっきの美女とスイーツなデートをしているんだろう。
放課後、先輩とダーツやネカフェなどに遊びに行ったことが、遥か昔のことのよう。
別に先輩と知り合いになる前までは、これが通常だったんだけど。
でも、何で?
友達や知り合いはたくさんいるのに、
自分が一人ぼっちな気分になってしまうのは。
「あ……」
コロコロと、足元に手のひらサイズのボールが転がってきた。
と同時に。
「すみませーん!」
という男の子の声が聞こえてきた。
ボールを拾い、その声の方向に投げて返そうとすると。
「わ、オブチさんじゃないですか!」
そこには驚いた表情をした、短髪の男子――
もといノリ坊が!!!
「……ひっ!?」
彼は小走りでこっちに向かってきていたため、
あたしは全身が固まってしまった。
あ、これハンドボール用のボールか。

