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何が何だかよく分からないままに、吉野先輩とは気まずい日々が続いていた。
ちょうど来週、あの神社のお祭があるんだけど、どうしたらいいんだろう。
「あ、せんぱ……」
帰り支度をして、校舎を出るとちょうど吉野先輩の後姿を見つけた。
しかし――
「ねーねー風太~。この後ヒマ~?」
「ん? まあね」
「久々遊びに行かない? 新しいスイーツの店ができたらしくてー」
超スタイルの良い女子があたしを追い越したかと思いきや、
そのまま先輩になれなれしい態度で話しかけていた。
(しかも、珍しく名前で呼ばれてるし。)
横顔しか見えないけど、すんげー美人さんっぽい。
そうだよね。
よく考えたら先輩はイケメンでモテモテで性格も良い王子様だった。
先輩は今彼女いないらしいけど、だからこそ色んな女子からのアプローチも受けているんだろう。
あたしが色々なトラブルに巻き込まれてしまったせいで、先輩のプライベートな時間を奪っているのかもしれない。
先輩が機嫌悪いのは、いちいち面倒なことに俺を巻き込みやがって、ってことかな……。
「…………」
何となくあたしは先輩&美女に見つからないよう、来た道を引き返した。
グラウンド方面を通って、ちょっと遠回りして帰るか……。

