確かに、真っ黒だった髪をほんの少し明るくして、伸びた前髪も切ってみた。
思ったよりもぱっつんになっちゃったけど。
「そういえばさー。ノリ坊がお前のライン知りたがってるんだけど。教えちゃっていい?」
ヒロキ氏がスマホ片手に、あたしをチラ見した。
「え?」
「相手してやってよ。あいついいヤツだし、仲良くなれると思うよ」
「…………」
突然のヒロキ氏からの提案に、あたしはどう反応すればよいか分からなかった。
そういうの今まで断ってきたけど、
そろそろあたしもオープンマインドにならなきゃいけないのかな……。
あたしという名の固いかたーいはまぐり。
このままじゃ、封印されたまま中身だけが干からびてしまうかもしれないし!
とうとうご開帳のときがやってきたのか? パカッ!
☆
スマホを片手にベッドに寝転がる。
『ヒロキさんの後輩のノリヤスです。気軽に絡んでくれたら嬉しいです^^』
うーん。こういうのって何て返せばいいんだ?
『オブチです。よろしく』
いや、これじゃあ冷たいかな。もっと可愛い感じがいいかな。
オブチじゃなくて名前か?
モモカだょ♪ 的な? ぎゃーキャラ違う!
ノリ坊って呼んでいい? あたしのことはオブちゃん……いや、後輩相手だし、オブさんって呼んでね、って自分で言ったら痛いヤツ?
あ、タメOKだよーとか? ってまだ喋ったことないのに!
――って!
やばい、早く送らないと。既読スルー状態だよこれ!
あわあわあわ。でも、どう返そう。
慣れないことするんじゃなかったー!

