おーぶつ! おーぶつ! おーぶつ!
うるさい。
うるさい。
過去の記憶と、今現在発せられている女子軍団からの汚物コールがシンクロしていく。
おーぶつ! おーぶつ! おーぶつ!
うるさい。
うるさい、うるさぁーーーーい!!!
キーンコーンカーンコーン。
昼休み終了5分前のチャイムが鳴る。
あたしは脱げたローファーを片手に、ゆらりと立ち上がっていた。
「るせーな……汚物じゃねーよ」
「は?」
堪忍袋の尾はいつの間にか切れていたらしい。
「あたしは汚物じゃねーよ! 汚物って言ったおめーらが汚物だぁああ!!」
「キャー!」
あたしは、手にしていたローファーを投げつける構えをした。
女の子たちから急にキャーキャーと悲鳴があがる。
あ! もしかして……。
こいつら、これが、ウ○コ&ドブローファーの実物だと思ってるんだ。
(あれはもう捨てたってば)
よし、これで攻撃するふりをしながら、この場から逃げるぞ!
だがしかし。
その場を逃げ惑う女子たちの隙間。
1人の大きな影があたしの前に立ちふさがる。
げ! そういえば1人強そうな女子がいたんだった。
「てめぇ、逆ギレしてんじゃねーよ! このクソブスがぁああ!」
シュッ、とパンチの構えをとられた。
あ、やばい。手を出してくるぞコイツ!
いやいや、ここは冷静に……!
――やられといた方が勝ち。
こうなったら切り札発動だ!!

