「何だよイライラするなー。言いたいことがあれば言えよ!」
リーダー女子に両肩を突き飛ばされる。
「痛っ!」
バランスをくずし、あたしはその場に尻餅をついた。
あ……!
転んだ勢いで、右のローファーがぬげてしまった。
おーぶつ、おーぶつ、おーぶつ!
容赦なく、あたしに女子たちの汚物コールが降り注いできた。
あああ。分かってるよ。
どうせあたしは汚物だよ!
ん? そういえば小学校低学年くらいの時も、こんなことあったな――
『こいつオブチじゃなくて、汚物でいいんじゃね?』
『うるさーい! 汚物って言ったほうが汚物なんですー!』
昔から生意気だったあたしは、よくクラスのガキ大将的な男子と言い合いをしていた。
イジメじゃない。
ただの子どもの口ゲンカ。
なんてことなかったはず。なのに。
『うわー汚物のくせに喋ったー!』
『汚物じゃないし! あたしだって喋るし!』
『くっせー近寄るな汚物!』
『あーもう! 汚物汚物ってうるさーい!』
何で今、鮮明にあの頃の記憶を思い出してしまうのだろう。

