「うちらも別に嫌がらせしたいわけじゃないし。お前見てるとイライラするだけなんだよねー」
リーダー格っぽい女子が優しい口調でそう言った。
嫌がらせって。
やっぱり上履きとか教科書とかも、こいつらがやったんだ!
(ちなみにこのリーダー女子、先輩に告ってフられたことがあるらしい。)
「お前みたいなヤツが先輩のまわりうろうろする権利がないってだけでさ」
ああ、わかってる。
先輩に友達以上の感情を持っても無駄なことくらい。
「そうそう、うちらお前に常識教えてるだけだしー」
わかってるよ、それくらい。
「お前みたいなクソ、吉野先輩の迷惑にしかなってないんだから、さっさとあきらめなってこと」
わかってる。
わかってるよぉおおおおお!!!!!
スカートを巻き込みながら、拳を強く握りしめる。
「そんなの知ってるよ! でも……あたしだって!!」
突然、反論を始めたあたし。
その場の女子たちが一斉にあたしに視線を向ける。
しかし……
『あたしだって、先輩と一緒にいたい!』
とは絶対に言えず(言ったら完全にボコられる!)、
結局――
「……う、あの……、その」
と、スーパーしどろもどろモードになってしまう始末。

