イケメンすぎてドン引き!



きっと、さっきの漫画にもあった、

『黙って俺に守られてればいいんだよ!』っていうセリフを言いたかったんだろうな。


せっかくのキュンポイント激高の言葉、噛んじゃって。プ。



「あはは、ありがとうございます。そう言ってくれるだけで、もう大丈夫ですよ」



あたしは先輩に弱々しく笑顔を返しておいた。



気持ちは嬉しい。ちょっと元気も出た。



でも、先輩には余計な心配かけたくないんだよな。



俺のせいでこんなことに……って悩んじゃいそうだし。



ま、別にあたしは先輩に色目使ってるわけじゃないから、きっとそのうち女子軍団も落ち着いてくれるだろう。



あたしはそうタカをくくっていた。









その日は、朝自習の当番が回ってきたため、早めに家を出た。


少し湿った風を感じながら、もうすぐ梅雨がきちゃうのかな~と物思いにふけりつつ、校舎へ向かう。




「オブちゃんおはよー! 珍しいねこの時間に来るの」



「今日朝自習当番でさー」



「ははは! そうでもないと、絶対オブちゃん遅刻ギリだしねー。じゃ、先教室行ってるね!」



下駄箱にて、クラスで仲の良い女子グループと会話を交わす。


あたしは職員室に寄らなければいけないため、彼女たちとそこで別れた。



なんてことのない、いつもの朝だった。



そう。ここまでは。



あたしは上履きを取り出し、パンッと床に落とす。



いつも通り、

何気なくそこに足を入れた、瞬間――。



――べちょっ!!



え? べちょ!?