もう、何これ最悪! 超めんどくさい!


逃げちゃおうと思ったが……。



「おめーみたいな汚物が、吉野先輩に近づくんじゃねーよ!」



「ぎゃっ!」



小太りのギャルにドンッと肩を小突かれ、あたしは後ろによろけてしまった。



あいたたたた……。



やべー。これ結構なピンチじゃね!?


と、身の危険を感じたその時――。



「ちょっとぉ~何あれぇ。まじ怖~いんですけどぉ」


「うぅわー。体育館裏あるあるの女子イジメじゃん? ムービー撮っとこー!」



突然、どこかで聞いたことがある、甘ったるい声と、ハスキーな大声が響き渡った。



「うわ、見られてた?」


「あれ3年だよね……やばくね?」



その声の主らしき、2人分の足音が近づいてくるとともに、

あたしを囲んでいる女子たちが、いっせいにビクビク&キョロキョロし始める。



はわぁ助かった~! と安心したのも束の間。



あたしも女子たちと一緒にそわそわしてしまう。



だって、この声×2は……。



「あれー? 誰かと思えば、あのくっさいローファーの子じゃん! 何何? おめーいじめられてんのー?」


「ねぇねぇ、もしかして吉野クン絡みぃ~? 最近仲良いもんねぇ~」



やっぱりー!


いつぞやのケバ女さんと、ゆるふわ女さんじゃないですか!