「なにこれマジウケるー! この靴の持ち主と付き合っちゃいます的な?」
「まじ? それリアルシンデレラじゃん。あははは」
まわりの女子たちから、ゲラゲラ&キャピキャピした声が漏れる。
しかし、
「うぅわ、でも無理~。まじ臭そう、ってか臭い」
という声がその中から聞こえてくる。
「でもこれを履ければ、きっと王子様が迎えに来るんだ!」
とふざけて近寄った女子生徒も、
「……ぐうっ! やっぱりあかん。これだけは」
と鼻をつまみながら、その場を離れて行った。
石化状態のあたしの隣で、
「うぅわー何アレ。誰のだろう」とミーちゃんもつぶやいていた。
とりあえずこの場を離れようと思い、
必死に体を動かそうとしたが。
「下駄箱見れば分かるんじゃね? 片方しか靴ないやついるべ!」
と騒がしい系の男子たちの声が聞こえた。
げっ。
やめれっ!
やめてくれーーー!!!!!
「オブちゃん~教室戻ろ。ってどしたの?」
あたしは石化状態に加え、マヒと猛毒もくらったような状態になっていた。
早く、エリクシールを! ラストエリクサーを頂戴!
だがしかし。
「あー! 犯人はっけーん!」
と先回りして捜索していたらしい女子の声が聞こえた。
「2年2組のオブチってやつ! 片方しか靴ないし、そのローファーと一緒!」
ぎあああああ! 万事休す!

