ホルガリズム

――ピンポーン



気の抜けたようなチャイムが鳴り響いたのは、間違いなく僕の部屋だった。



―――ピポピンポーン




「・・・・・・は?」


持っていた灰皿を落としかけたところで我にかえった。


このタイミングはまさか。いやいやそんなまさか。





まさかの彼女だった。


そしてまさかのスッピンだった。


でも足元はやっぱりオッサンスリッパだった。


しつこいようだが、焦げ茶色のオッサンスリッパだったのだ。