幸成に会うのが怖かったのに、いざ会ってしまうと普通に、むしろ嬉しく話してる私がいた。 バスに乗ってからも会話が続き、バスを降りてそれぞれ傘をさして並んで歩く。 この距離がいつもより遠くて、寂しい。 そして、幸成の家の近くに来た時、私は幸成よりも早く気付いてしまった。 思わず立ち止まる私。 「多恵?どうした?」 立ち止まる私を見て、幸成も立ち止まる。 私は何も答えず幸成の家の前を見ていた。 その私の視線をたどった幸成のコクッと息を飲む音が耳に届く。