大好きだから、苦しい。
大好きだから、私は彼のことで弱くなる。
私のこの想いを伝えたら、彼はなんて言うかな…
『芽衣、俺、行きたいところがあるんだ。
そこに行ってもいい?』
彼は優しく微笑み、そう言った。
彼の行きたいところってどこだろう?
『いいよ』
私の返事を聞いて、彼は少し真面目な顔をして、私の顔を見つめる。
『…何?』
『なんでも』
彼はそう言って、私の手を引いて歩く。
こんな風にいつまでも、二人、手を繋いで歩いていければいいのに。
ずっと、ずっと、彼の隣を歩けたらいいのに。
でも、4月を迎えたら。
『ねぇ……』
彼は私の問いかけに振り返る。
『私達……大丈夫…かな…?』
『大丈夫って?』
『………うん…』
私から質問したくせに、彼からの返事に答えられない。
『…なんでもない』
私がそう言うと、彼は再び私の手を引いて歩き出した。
ねぇ…私達、4月が来ても、大丈夫だよね?
忙しくて、離れ離れになっても…今みたくずっと一緒にいられるよね…?
言葉にできない、その不安を私は彼の背中に投げかけることしかできなかった。