俺たちはそのまま浩二の持ってきたチケットで入場した。
『とりま、どこ行く?』
浩二の振りに、全員がマップを見て確認する。
『司は何に乗りたい?』
麻里が甘ったるしい声で問いかけてくる。
『俺は、絶叫系かな…』
マップで見る限り、俺が楽しめそうなのは、この猛スピードで駆けぬける鉱山列車とかいうジェットコースター、落差16mの滝にボートで落ちるやつ、宇宙船に乗って走りぬけるやつ、くらい。
『麻里も絶叫系好きだよ、司、一緒に乗ろうね?』
麻里はそう言って、俺の腕に自分の腕を絡ませた。
不意に俺は麻里の腕を見て、そして背後にいる彼女の方に視線を向けた。
何がしたかったのか、何が言いたかったのか分からない。
でも彼女がこの姿を見て、どういう顔をするのか、なんとなく見たかった。
まぁ…いつものことだからなんとも思わないだろうけど。
そんな彼女は浩二と一緒にマップを見て笑い合ってる。
『司、最初はどれ行く?』
『浩二、ここからすぐ近くの宇宙船のやつ乗ろうぜ』
俺は彼女と楽しそうに笑い合う浩二に話しかけた。
俺のふりに浩二は顔をあげて、
『あ~ぁ悪い、芽衣、絶叫系苦手なんだって、だから俺と芽衣は違うのを楽しんでくるよ』
そう言った。
『芽衣、行こう』
浩二は彼女を呼び、彼女は浩二の横に並んだ。
『じゃーな、司』
浩二と彼女は俺たちに手を振り、そして背を向けて、俺が誘った方向とは逆の方に歩き出した。
『浩二くんって芽衣のこと好きなのかな?』
麻里は嬉しそうに俺に問いかける。
『…知らね』
そんなこと、俺、一度も浩二の口から聞いたことない。
『まぁ、あたしは司と回れるからいいけどね』
麻里はそう言って、俺の腕を引く。
でも、俺は振り返る。
なんだろう。
なんか言いようのない不安に襲われてる気がする。
『司、行くよ』
麻里に強引に引かれ、俺も彼女とは逆の方向へと歩み始めた。

