そのどんちゃん騒ぎは夜中まで続いた。

みんな、終電には間に合うように帰ると言い、俺のアパートから出て行く。


でも浩二だけは、その場に残った。




『司、めっちゃ気持ち悪いわ…今日、泊めて』


浩二は俺の返事も聞かずに、その場に倒れこみ、今にもその場で寝そうな感じだった。



『なぁ…浩二』


俺が声をかけるも、浩二からの返事はない。



やっぱ、寝た、か…


『浩二さ、あの時、普通にキスできた?』


浩二は寝てるものだと思った。


でも、その問いかけには浩二は首をあげて、俺の目を見つめてくる。



『…起きてたの?』


俺は少し動揺し、浩二に声をかけると、


『あの時って、芽衣と、ってこと?』


そう、返事が返って来た。



『……まぁ…』


俺の返事に、浩二は再び顔を床に突っ伏した。



『ゲームだからね、出来た、かな』


『でも、芽衣には無理、だったかな…』


浩二はそう言って、顔を俺のいる側の方に向けて、言葉を続けた。



『あいつさ、すっげー困った顔してたんだよね?
 俺とゲーム上でもキスする流れになって、めっちゃ困ってた。
 だから…このまましちゃってもいいのかな、とかは思ったよ』



…困った顔。


確かに、キスするお題が出てから、ずっと困った顔をしていた。


なんか、その顔を見てたら…



『で、お前はなんであの時、酔った振りをしたわけ?』


『へ?』


『お前ほど酒の強いう奴はなかなかいねぇよ?
 今までお前が酔ったところ見たことねぇし。
 なのに、なんで?』



浩二の問いかけに言葉が詰まる。


そんなん、俺が知りたい。


俺だって、なんであんなことをしたのか、自分でも分からないんだから。



『…わかんね』


俺が答えると、


『なんだ、芽衣と俺をキスさせたくなかった、とかじゃないんだ?』

浩二は真顔でそう答えた。



『は!?』


俺は思いっきり驚いた声を出した。


『自覚なし?』


『何が?』


『司、芽衣のこと、好きなんじゃねぇの?』