その時あたしの電話が鳴った。 山奥だけど近くにはアンテナがあり 微かながら圏外ではなかったようだ。 かすみの表情を伺いつつ 相手を確認する。 表示されていた名前は 『えっちゃん』の文字。 あたしは慌てて通話ボタンを押す。 繋がったとたんに絵梨子さんの 切羽詰まった声と内容にすぐに 全ての荷物を持って駅へ向かう。 かすみの声が漏れていたのか 外に出ると白い目を向けられる。 でもそんなこと気にならなかった。