君と想い出をもう一度

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王家の象徴、城の前に植えてある大樹の下に人陰が見えて来た。


「お父様ー!!」

ミュウがボルドーにブンブン手を振る。

ラルムも立ち止まり会釈をする。


「ミュウ、元気そうだな」
ボルドーがミュウと同じ瑠璃の瞳を細めた。


「ラルム様、ミュウをありがとうございます」

ラルムには丁寧にお辞儀をする。


他人から見れば分からないが、穏やかなボルドーの敬語にはいくつか種類があるのだ。

勿論、ラルムに対するそれには信頼など温かい感情が溢れている。


「当然のことです、先生。ミュウは俺の妻になるんだし、守るのが俺の役目と言っても」


ミュウが嬉しそうにボルドーと目を合わせた。


「ラルムー!!」

「うわお前先生の前で」


勢いよくラルムの腕に抱き着くという喜びようである。

「ラルムが守ってくれるから大丈夫だよ!!ねっ、安心したでしょうー?」


ボルドーは困ったように眉を下げるだけで何も言わない。


「─ミュウ、何つー図々しい発言だよ…」

ラルムもため息をついて言う。

「え、助けてくれないの!?」

「あぁ~!!そういうことではなくてだな!!」


「どういうことー?」

「危ない目に合わないようにしろよって言ってんだよ!!いちいち助けが要るようじゃ、俺も先生も命がいくつあっても足りないだろうが」


あぁそういうこと、と素直に納得してしまうのは天然なのか何なのか。


そこへ面白そうに二人の様子を眺めていたボルドーが入ってきた。


「そろそろ行きましょうか」

「はい!」



ミュウの返事で再び三人で歩きだす。