突然、バタバタと足音が近づいて来た。


「ミュウお嬢様ーっ!?」
「どこにいらっしゃるのですかー!?」


ミュウ付きのメイド達だ。

「お前また脱け出して来たのか?」

「だってラルムに会いたかったんだもん。それに、夕食の時に着るドレス選ぶだけで三時間なんて嫌だよー。そんなことするならシュザーと遊びたい」


昔からのおてんばは健在である。

犬のシュザーと泥んこになって遊ぶために、洗濯係が毎回泣きそうになっていたのを思い出す。

顔を赤らめて恥ずかしそうに言えるだけ成長した、と言っても過言ではない。


「あまり脱け出すなよ。ミュウが俺の所にいない時に脱走を知らされたら、肝が冷える」


ミュウが居なくなったと聞いて、ラルムが真っ青になったのも一度や二度ではない。


「ごめんごめん!でも…私に何かあったらラルムが助けに来てくれるでしょ?」

ふんわり笑うミュウに、今度はラルムが赤くなる番だった。


「当たり前だ!」


そっぽを向くが、左手でクシャッとミュウの髪を撫でる。


「じゃあ頑張って来るね!また夕食でー!」


パタパタと走り去るミュウに優しく目をやってから、ラルムは部屋へ戻った。