「ねぇ良いでしょー?それにね、今夜はお父様が国王陛下に許可を頂いて洞窟に連れて行って下さるんだって!!」


「ドークツ?」

「岩でできた洞穴だよ!ラルム知らないの?」

「知ってるに決まってんだろ!」


秀才一族の娘だということもあり、昔は何かにつけてラルムの知らないことの方が多かったからか、ミュウのこの口調はほとんど癖になってしまっている。



「そうか…まぁボルドー先生が言うなら行くか」


ラルムがそう言うと、途端にミュウの顔がぱっと輝いた。

「じゃあ星を見てから二人で大樹の所へ行こう?そこでお父様と待ち合わせのはずだから!」

「星は許可制じゃねぇのかよ!」

「だーって心配性だよ、お父様。許可なんてくれる訳ないじゃない」


少し不満げなミュウが可愛らしい。

ラルムは口が知らず知らずの内に弛んでいることを知らない。


『ミュウお嬢様がいらっしゃるとラルム様はとてもお優しいお顔をなさるわ』


と女中間でも噂されるほど。