「ギャハハハハ! なるほどな! 納得がいったぜ!」
どことなく気まずい雰囲気が漂う車内の空気を読まず、リクの笑い声だけが響き渡る。
「それにしても、ユウカの父親ってまだ見つからないのかよ?」
リクは心配そうな顔をして、天井に視線を向けた。
「そうだな。まだ行方不明みたいだな」
俺とリクとユウカは、小学校、中学、高校、大学と同じ道を歩んできたいわゆる幼なじみだ。
どういうわけか、縁が途切れることなく、この関係が大学になった今でも続いている。
ユウカは容姿が良いから昔からけっこうモテていたが、ずっと一緒にいるせいか俺はユウカを恋愛対象としてみることはなかった。
だからこそ、この不思議な3人の関係が続いてきたのかもしれない。
明るい性格で、大学でも人気のユウカ。
俺はパズルゲームを閉じて、鞄に入れた。
ユウカの弱みを上げるとしたら、ギャンブル癖がありすぐに仕事を辞めてしまうあの父親の存在だろう。
家族のことは、母親が必死に働いてきて養っているようなものだ。
その母親もつい1年ほど前に亡くなった。
過労死だったそうだ。
今ではユウカがバイトをして生活を何とか支えている。
小さい頃から、ユウカの父親は俺も苦手だった。
そんなユウカの父親が3週間前に失踪した。
あまりにも帰ってこないことから、ついに1週間ほど前、警察に捜索願いを出したが依然として行方は掴めてなかった。
俺から見れば、あんな父親はいなくなってせいせいすると思っていたがユウカは父親のことを本気で心配している。