「…まぁ無理にとは言わねぇよ。」



「涼兄ありがとう……」



あたしはお礼を言った。



涼兄は何も言わず優しい顔で微笑んであたしの頭をなでてくれた。



涼兄に頭を撫でられるのは結構好き。



あたしの第二のお兄ちゃん……って感じかな。



「随分と話し込んじゃったな。教室行け。担任には俺が言っておく」



「ありがとう」



あたしはお礼だけを言って理事長室を出た。



廊下に出るとセミの鳴き声と日差しが当たる。



梅雨の季節も過ぎて暑い嫌な夏の始まりだった。