クラシックバレエダンサーかと思うほど、華麗にスピンをしながら近づいてくる奴。 この朝から元気な男。私の2年後輩で、鬱とは無縁そうに毎日を生きている。 「橘さ〜んこ〜れ受け取〜って」 あの名曲のサビのメロディの替え歌を熱唱しながら、私の目の前でスピンをピタッと止めて右手を差し出す。 その彼の右手には… …真っ赤なバラの花束が。