ピアノを弾く黒猫









「優ちゃんは僕の優ちゃんだ!
誰にも渡さない、僕だけの優ちゃんだ!
アイツ…協力するって言ったくせに、何で!」




アイツ?

話の内容から、黒田くんじゃない。

アイツって誰……?





「生島くん、アイツって?」

「……菱川奈々恵だよ」

「奈々恵さん!?」




何で奈々恵さん……。





「あの女、僕が優ちゃんを愛しているって言ったら、協力するって言ったんだ。
優ちゃんを僕のモノにしてくれるって約束してくれたんだ。

それなのに黒田初夜に対しては全く対処しない。
むしろ優ちゃんを黒田初夜は奪おうとしている!

何であの女、僕に協力しないんだ!
何で黒田初夜なんて虫けらを用意したんだ!!」





どういうこと……?

奈々恵さんは、あたしを好きな生島くんに、あたしとの恋が叶うよう協力してくれると言った。

それなのに奈々恵さんは、黒田くんをあたしの前に出て来させた。

……ん?





「待ってよ生島くん。
あたし、黒田くんのことは好きじゃないよ?」




生島くんは、協力者であった奈々恵さんの用意したらしい黒田くんのことを、あたしが好きだと思っている。

それ、恥ずかしいほどの勘違いだよ。




あたし、黒田くんなんて好きじゃないよ。