「! ねぇ、あれ広瀬先輩じゃない?」

「あ、ほんとだ!ねぇ優衣!あそこにいるの広瀬先輩だよ!」


みーちゃんに続いて、同じく先輩に気づいた様子のユカリが、大きく向こうを指さしてみせる。


そこでは、飛んできたボールを足でキャッチした先輩が、立ちはだかってくる人たちの間を抜けるように走っていく。

そして次の瞬間――先輩が力強く蹴りあげたシュートは、
あっという間にゴールネットの奥へと吸い込まれていったんだ。



「…か、かっこいい~~!!
さすが期待のエース!ねぇ優衣、今の広瀬せんぱい超かっこ良かったね!」

「うんっ…」


先輩のプレー姿を見て一気に胸をときめかせた様子のユカリに、私も顔を赤らめる。


確かに今の先輩、すっごいすっごい、本当にかっこ良かった…。


…ついさっきまで、あんなに逃げ出したくてたまらなかったはずなのに
そんな気持ちはいつの間にか吹き飛んで。


ただただ今は、
視線の先に映る先輩の姿に見とれていた。