TEARS【~君色涙~】

「…え、俺の付け方違ってる?」


あまりにも私が食い入るようにして見るから、隼人は自分の花章におかしな所でもあるのかと戸惑っていた。

焦った様子の隼人に、私は「ううん」と首を横にふる。

そしてお決まりのようにこう言ったんだ。



「なんでもない」







広瀬先輩たちの卒業式から、もう1年が過ぎたんだと思った。

去年は在校生として後ろから見ていたはずの椅子に、今年は私達卒業生が着席している。


「神崎隼人」

「はい」


体育館の舞台上では
校長先生に名前を呼ばれ、卒業証書を受け取りにいく隼人。


その姿を目で追いかけながら、私はある決心をしていた。



「……」



今日このあと
卒業式が終わったら。

真っ先に隼人の所へ走っていって、第2ボタンをもらおう。


そしたら………



「栗原優衣」


と同時に壇上で名前を呼ばれた。

私は一人スクッと立ち上がる。


「はい」