「おはよ隼人。なんか用事でもあったの?」

「あ、いや……」


笑顔でタタッと駆け寄るも、何やら隼人が手にしていた1枚の紙に気がついて、私は「?」と首を傾げる。

よく見ると、そこに書かれてあったのは“推薦書”の文字…


思わず固まる私に、隼人がどこか遠慮がちな様子で首の後ろへと手をやった。


「…こないだの三者面談でもそういう話があったんだけど、実は俺…学校から推薦してもらえるみたいでさ」

「……」

「色々考えて、受けようと思う」


隼人の言葉に、私は一瞬考えが真っ白になった。

受験する高校は違っても、せめて同じ入試日だけは一緒に頑張りたかったから。

何よりやっと隼人に追いついて来られたと思ったはずが、また遠ざかるような気がして……


でも……



「そっか。すごいね隼人、おめでとう!」

「……」

「隼人が毎日すごく頑張ってたこと、ちゃんと知ってるよ」


それがきっと先生たちにも伝わったんだ。

隼人の努力は誰よりも私がこの目で見てきた分、まるで自分の事のように嬉しく思える。


当の隼人はというと、心配性な性格が顔を出しているのか、まだ少し自信がなさそうに俯いた。


「とは言ったけど、面接もあるし、緊張するな…。俺に出来っかな」

「出来るよ。出来るに決まってる。いつもの隼人らしくいけば、絶対大丈夫!」



隼人なら絶対、合格できるよ。

私が保証する。