「ありがと隼人」


火花の音で掻き消されるも、私の表情を見てか口を四角にして笑う隼人。

そして今度は私の持つ花火をろうそく代わりにして隼人も自分の花火をつけた。


赤や黄色、青、緑…
一個で様々な色へと変化する花火。



それを空へとかざして見せながら…ふと私は隣の隼人に目が行く。


「……」


暗闇の中で照らされてか、どこか幻想的にも見えるその横顔。



気づくと目をそらせない自分がいて


花火に夢中になっていたはずが

いつしかすぐ傍にいる隼人に見入っていた。





「…優衣?」


どれくらいの間、そうしていたんだろう。

花火が消えても反応のない私に隼人が顔を向けてくれる。


そのまま自然と見つめ合ったとき、私はこう口にしていたんだ。


「……好き」