TEARS【~君色涙~】

――違う。

私のせいだ。


私が隼人より、広瀬先輩を選んだから……


「って、ワリ…せっかくの祭りに暗い事言って。先輩のこと口にすんのはもう今日で止めにすっから」

「……」

「優衣?」


気を持ち直したのかとっさに笑いかけてくれるも、今度は私の方が俯きがちになってしまい、心配した様子の隼人が顔を覗きこむ。

このとき、隼人と目が合った私は思いきって口を開けた。


「…っあのね隼人!ずっと言えなかったけど私、先輩のことはもうとっくに吹っ切れてるんだよ、本当に今は何とも思ってなくて」

「……」

「だからっ……!」


“誰とも付き合う気ない”

――でもその先をはっきりと口に出す勇気がなくて
思わず声につまっていたら、ぞろぞろと列が進んで前が空いてしまい、整備の人に注意されてしまった。


「はいそこ。どうか立ち止まらずに進んでください」


「あ、すいません」

「……」

「行こう、優衣」

「う、うん…」


戸惑いつつも隼人に手を引かれてしまい、自分たちも前へと進み始める。





高くて立派な門構えをくぐると、ようやく大きな社殿が見えてきた。


去年はここへ足を踏み入れることが出来なかった、神様のいる場所…。


大きな賽銭箱の前では、両手を合わせた人たちが揃いも揃ってジッと何かをお祈りしている。



私は何を、お願いしよう……


さっきの事を引きずってかまだ少し落ち込んだ頭で、ぼんやりとそんなことを考えていたら、隣で隼人がさり気なくこう呟いてきた。


「…なぁ、さっき言ってたやつってほんと?」