TEARS【~君色涙~】

「―――…」

「けど勝てなかった。やっぱりサッカーじゃ先輩を越えられない」


あれからずっと忘れていた。

だからもう思い出すことはないと思っていたのに。


隼人が口にしたその名前に瞳が揺らいでしまう。


「だから決めてたんだ。サッカーで敵わねーなら勉強で1位獲ってやるって」

「……」

「先輩よりも頭の良い高校行って、見返したかった」



それが西高を選んだもう一つの理由だと、隼人は嘆くように言った。


その事を今初めて知った私は何も考えられず…

つい、かける言葉を見失っていると、隼人が自虐的に笑ってみせた。


「…バカみてーだよな。勝手に闘争心燃やしたところで、先輩は俺のことなんて全く眼中にねーし、同じ土俵に立てるわけでもねーのに」

「……」

「ただ、そうでも思わねーと…やりきれなかった」


そう話す今も周囲は相変わらず騒々しくて。

明るく賑やかなお祭りの空気とは対照的に

どこか落ち込んで俯きかけた様子の隼人の横顔が、やけに暗く映る。



「……っ」


なんで、そんな顔…