「…俺はちゃんと分かってるよ。優衣は優衣なりに一生懸命やってるって」

「!」

「つうか別に出来ないことあって良くね?俺らまだ子供なんだし。出来ることって人それぞれだろ?」


一人グスグスと泣いていたら、ふいに隼人が私の頭に手を添えてきた。

そのままポンポンと優しく撫でられ、私は顔をあげる。


「俺、前に言わなかったっけ。優衣には優衣の良いところがあるんだから、あんま落ち込みすぎんなよって」

「……」

「それに勉強なら、いくらでも俺が教えてやれるからさ」


な?と

優しく元気付けるように言って、にししと笑ってくれた隼人。


笑い方は昔のまま少しも変わらず…

流れ出る涙と鼻水で、ひたすら口の中がしょっぱい。


思わず苦い表情を浮かべた私に、隼人が心配そうな眼差しを向けてくる。



「……だめ?」



…やっぱり隼人ってエスパーかもしれない。



「……ううん。だめじゃないよ…」



変わっていくことより、
変わらないでいる事の方が多分本当は難しいんじゃないかとさえ思う。


楽しかった日々を思い出して後ろを振り返りたくもなるけど…


「ありがとう、隼人…」


でも今は、一歩ずつ前に進んでいきたい。