「本日はその勝利を祝しまして、このメンツで乾杯!」

「かんぱーい!」


はしゃぎ声がするほうを振り向くと、遠くのテーブルでは2年のサッカー部の男子たちに、何人かの女の子たちが一緒になってジュースで乾杯していた。

そしてその大人数の中にはーー隼人の姿もあって、私はハッと身をかがめる。


「もーうるさいな。ってあれ?あそこに居んのってもしかして南中生じゃ…
って、ちょ、優衣ってばいきなりどしたの!?」

「隼人」

「え?」

「隼人がいる」


とっさに口を突いて出た私の言葉に、エッ?と目を丸くするユカリ。

隠れるつもりなんてなかったのに体が勝手に動いてしまった。

ソファ席から頭を低くして、向こうにいる隼人に気づかれないよう様子を伺う。


「ねぇねぇ隼人~。隼人が決勝で1点入れたってほんと?」

「え?あぁ…」

「えっすごーい!私、サッカーとか苦手だから尊敬する!」


よく目をこらして見ると、隼人の隣には知らない女の子が座っていた。


…もしかしてあの子も隼人のことが好きなのだろうか


隼人の横をキープするかのようにぴったりとくっついて、それを見た他の男子がストップをかける。


「はいそこ、公共の場でいちゃつき禁止ー。つか隼人、彼女いるから狙ってもムリだぞ。
こないだも彼女と仲良く電話してたし。な?隼人」

「あー……



別れた」