「うん分かった。私、浴衣着ていくね!」

「まじで?優衣の浴衣姿、すげー楽しみ…」


このとき、気づけばお互いの顔がすぐ至近距離にあって。

身を乗り出したままの私と、こっちに視線を戻した隼人とで目が合う。


「……」


思わず話すのを止め、じっと二人見つめ合ったあと

自転車のハンドルは握りしめたまま、隼人が顔を近づける。



あ……



ぎゅっと目を閉じて、お互いの唇が触れかけた瞬間



何気なく後ろを車や通行人が通りすぎていき



私たちは慌ててパッと離れた。