「夏祭り…」

「え?」

「私、隼人とお祭り行きたい」


思わずそんな言葉が出ていた。

唐突にもポスターに指をさし始めた私を見て、隼人がつられたように後ろを振り向く。


「祭りか…」

「8月の30日だって。ねぇ行こうよ」


気持ちが高まってか、自然と身を乗り出す。

夢中になってポスターを覗きこむ私に、どこかバツの悪そうな表情をした隼人が、自身の首元に手をまわしたんだ。


「…実はこの日、大会があるんだ。決勝の」

「……」


大会…そんな

じゃあ、やっぱりもう無理ってこと?


今年の夏休み、
隼人とどこへも行けずに

このまま……


「……っ」

「けど夕方までには帰れっから、夜からでもいい?」

「!」

「だからその門限とか、遅くなるって親御さんに言っておいてほしいんだけど…」


わざとっぽく目をそらしながら、照れくさそうに話す隼人。

思いがけないその言葉に、私は首を大きく縦に振る。