TEARS【~君色涙~】

「栗原。あのさ」


突然シンと静まり返った校舎の階段からふいに隼人の声がして、私は一人「えっ?」と天井を見上げる。


「隼人?どうし……」

「さっき言いかけて忘れた話だけどさ。今思い出したからついでに言っとくわ」

「……え?」

「広瀬先輩、今彼女いないって」



その言葉を最後に、再び階段を上がっていった様子の隼人。


ダンダンと階段を駆け昇っていく足音が響く中

下で佇んだままの私は、思わずポカンと開いた口に手を当てる。



“広瀬先輩、今彼女いないって”








えぇぇぇ……!?