TEARS【~君色涙~】

「なんかワリ…変なとこ見せて」


エレベーターに乗り込んで二人きりになると、どこか気まずそうに隼人が口を開いた。

私はなんてことない様子で首を横にふる。


「ううん。隼人のお姉さんすっごく綺麗な人でびっくりした。あんな美人なお姉さん、居たんだね」

「……」


それに、お姉さんにいじられてムキになってる隼人もちょっと可愛かったし……

家では普段あんな感じなのかな。


「あと、姉貴の言ってたことなら気にしないでいいから。そんなつもりで栗原を家に呼んだわけじゃねーし…」

「? そんなつもりって?」

「え、いやその、意味わかってねーなら別にいい!」


一体どうしたのか、目的地の階に到着するなり、急いでエレベーターから出ていってしまった隼人。

取り残された私は、あっけに取られたように口を開ける。


??

なんか私、変なこと言った?




不思議に思いながらも隼人の家に上がらせてもらうと、真っ先にリビングに案内された。

とりあえず買ってきたケーキを差し出して冷蔵庫に入れてもらう。


「ケーキありがとな」

「うん、これはさすがに手作りじゃないけど…お店のだから味は美味しいと思う」


冷蔵庫から飲み物のペットボトルを取り出す隼人の後ろで、私は辺りをキョロキョロと見回してみた。


「……」


家の人、みんな出掛けてるのかな。


広いリビングに二人だけ。

なんだか緊張して落ち着かない…。


「ね、ねぇ隼人の部屋ってどんな感じ?ちょっと見てみたいなぁ、なんて」

「え」

「だ、だめ?」



何気ない私の言葉に、隼人はどこか照れたように頷いたんだ。



「……いいけど」