「え、それってつまり…汗のにおいじゃね?」

「えっ?あ…じゃあそうなのかも。よく分かんないけど。でもこの匂いが凄く安心して好きなの」


バレンタインの日、隼人が私に上着をかけてくれた時もそう。

肩に隼人の匂いがして、すごく安心したのを覚えてる。


いつのまにかあの日のことを思い出し、一人余韻に浸り始めていると、頭の上から隼人の低い声が聞こえた。


「……あんまそういうこと、さらっと言うなよ」

「?」


心なしか少し怒ったような口調で、やや強引に顎をクッと持ち上げられる。


「……」


あ………


しばらくそのまま見つめ合っていたあと、隼人の顔が近づいてきた。