隼人に上から優しく抱きすくめられ、私も隼人の背中に手を伸ばしてみる。

そっと触れてみた大きな背はガッシリとして男らしく、心臓がドキドキした。


しばらくの間、お互い抱きしめ合っていると隼人がちょうど顎あたりにあった私の頭に、鼻先を近づけてきたんだ。


「なんか、栗原の髪…良い匂いする」

「へ?あっ、もしかしてさっきお風呂入ってきたからシャンプーの匂いかも」

「……」


まさか今日の夜、隼人が会いにきてくれるとは思わなかったけど、前もってお風呂に入っておいて良かった。


好きな人の前では、なるべく清潔でいたいもん。


内心ほっとする私とは対照的に、隼人はどこか気まずそうに体を離しかけようとする。


「…そういう俺は汗くさいかも。部活終わってそのまんま来たから」

「ううん、そんなことないよ」

「……」

「隼人の匂いがする」


そう呟いて、私は再び隼人の胸に顔を近づけようとした。

でもその直後、隼人が焦ったように身をよじらせる。