次の日の夜。


昨日と同じ時間帯ごろに隼人から電話が掛かって来るのを見越して、
私はあらかじめ先にお風呂に入るのを済ませておいた。


壁の時計を見上げるともうすぐ夜の7時半。

一通りのことを終わらせた私はようやくベッドに腰かけると、ドライヤーで乾かした髪をひたすらクシでとかしていた。


そのとき。

すぐ手元に置いていたスマホが鳴り響いて、私は慌てて画面を覗きこむ。


…隼人からだ。



『も、もしもし!』

『あ、もしもし栗原?つか、今どこにいる?』

『えっ今? 今は、自分の部屋にいるよ』


どうしてそんなことを聞いてくるのか不思議に思いながらも、まわりを見回しつつ答える。


すると耳元の向こうで、隼人がどこか照れくさそうな声でこう聞いてきたんだ。



『俺さ今、栗原ん家のすぐ近くに居んだけど…出てこれる?』